The Pilgrimage Train
聖地巡礼の電車
わたしは、あのアニメが大好きです。今年の秋、仕事を休んで、あのアニメの舞台になった町へ、一人で行くことにしました。
朝早く、電車に乗りました。乗りかえを二回して、四時間ぐらいかかりました。電車の中には、ほとんど人がいませんでした。窓の外は、だんだん山と田んぼばかりになっていきました。アニメの中で何度も見た景色です。わたしは、うれしくて、ずっと窓に顔を近づけていました。
目的の駅は、小さな無人駅でした。降りたのは、わたし一人だけでした。ホームのベンチの横に、古いノートが置いてありました。表紙には「思い出ノート」と書いてあります。ページを開くと、あのアニメを見に来た人たちが、絵や感想を書いていました。
「ここに来られて、本当によかった。」
「また来ます。」
読んでいるうちに、胸が熱くなりました。わたしも、ノートの横にあったペンを取って、短い言葉を書きました。
駅から、アニメに出てきた橋まで歩きました。ところが、地図を見ても、道がよくわかりません。困っていると、畑で仕事をしていたおばあさんが、声をかけてくれました。
「その橋なら、この道をまっすぐ行って、赤い郵便ポストのところを右に曲がればいいよ。」
「ありがとうございます。」
「最近、あなたのような若い人がよく来るんだよ。アニメ、というのかね。わたしはよく知らないけれど、町に人が来てくれるのは、うれしいことだねえ。」
おばあさんは、そう言って、トマトを二つ、わたしにくれました。
橋は、アニメで見たとおりの場所にありました。川の水は、思っていたより、ずっときれいでした。橋の真ん中に立って、わたしは、あの場面を思い出しました。主人公が、友だちを待っていた場面です。画面で見ていたときは、ただ「きれいな絵だな」と思っていました。でも、実際に立ってみると、風の音も、川の音も聞こえます。絵の中には入っていなかったものが、たくさんありました。
帰りの電車は、夕方の一本しかありませんでした。乗り遅れないように、早めに駅へもどりました。ベンチに座って、おばあさんにもらったトマトを食べました。あまくて、少しあたたかかったです。
電車の中で、わたしは、ノートに書いた言葉を思い出していました。聖地巡礼というのは、ただ同じ場所に行くことではないのかもしれません。その場所で、自分だけの小さな思い出をつくることなのです。そう思うと、また来年も来たくなりました。
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JLPT-style reading questions. Pick the best answer.
Q1
わたしが電車の窓に、ずっと顔を近づけていたのは、なぜですか。
The scenery was familiar from the anime and she was happy. 「アニメの中で何度も見た景色だ。わたしは、うれしくて、ずっと窓に顔を近づけていた。」
Q2
「おばあさんは、そう言って」の「そう」は、何をさしていますか。
It points back to her words just before. 「町に人が来てくれるのは、うれしいことだねえ。」 She said she did not know the anime well.
Q3
駅で、わたしの胸が熱くなったのは、なぜですか。
She read what other fans had written in the notebook. 「あのアニメを見に来た人たちが、絵や感想を書いていた。」「読んでいるうちに、胸が熱くなった。」
Q4
橋の上に立って、わたしが気づいたことは、何ですか。
She heard the wind and the river, things the picture did not have. 「風の音も、川の音も聞こえる。絵の中には入っていなかったものが、たくさんあった。」 The river was cleaner than she expected, not smaller.
Q5
わたしが「また来年も来たくなった」のは、なぜですか。
She came to see a pilgrimage as making your own small memory at the place. 「自分だけの小さな思い出をつくることなのだ。そう思うと、また来年も来たくなった。」
Words in this story
Tab-separated, two columns. Paste into Anki.
舞台 ぶたい — setting, stage 無人駅 むじんえき — unstaffed station 景色 けしき — scenery 感想 かんそう — impression, comment 乗りかえる のりかえる — to transfer (trains) 場面 ばめん — scene 主人公 しゅじんこう — main character 実際 じっさい — actually, in reality 思い出 おもいで — memory 聖地巡礼 せいちじゅんれい — visiting real places from a story 困る こまる — to be in trouble 最近 さいきん — recently
Grammar review
Patterns from this story. Find them again as you reread.
くらい / ぐらい
about; to the extent of
乗りかえを二回して、四時間ぐらいかかりました。
うちに
while doing X (a change happens)
読んでいるうちに、胸が熱くなりました。
ところが
but unexpectedly
ところが、地図を見ても、道がよくわかりません。
ばいい
it would be fine if you just do X
「その橋なら、この道をまっすぐ行って、赤い郵便ポストのところを右に曲がればいいよ。」
とおり(に/の)
just as X
橋は、アニメで見たとおりの場所にありました。
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Hi, I'm Yuuki, a native Japanese teacher in Tokyo. My lessons are one-on-one and built around what you already love: anime, manga and the stories you read here. Bring any story from this page and we'll read it together, sort out the grammar that trips you up, and get your pronunciation sounding natural.
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